最終更新日:2026.09.02

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離れて暮らす親に老人ホームへの入居を勧めても、本人が強く拒否してしまい、どう説得すれば良いか分からず悩んでいる…という方もいるのではないでしょうか。また、認知症の進行などによって本人が自身の状態を正確に判断できなくなっている場合、同意がないまま入居手続きを進めて良いのか、後で問題にならないかと不安を感じるケースが少なくありません。

今回は、本人の同意なしで老人ホームに入居できるのかどうかや、入居を拒む理由、同意を得るための具体的な方法について解説します。

本人の同意なしに老人ホームは入居できる?

老人ホームへの入居は、本人の意思を尊重して進めることが基本です。

特に本人に判断能力があり、入居を明確に拒否している場合、家族の判断だけで入居を進めることは適切ではありません。

本人の意思を無視したまま入居を進めると、新しい生活への適応が難しくなったり、家族との信頼関係に影響が出たりする可能性もあるため、同意を得るための働きかけを尽くすことが大切です。

一方、認知症などにより本人が入居契約の内容を十分に理解して判断することが難しい場合には、成年後見制度の利用を検討することがあります。

成年後見制度とは、判断能力が不十分な方を法律的に保護・支援するための制度です。成年後見人など、施設入居契約について法的な代理権を持つ人が選任されている場合は、その権限に基づいて本人に代わって契約を行うことがあります。

なお、家族であるというだけで、本人に代わって契約する法律上の代理権が当然に認められるわけではないため、本人の状況に応じて地域包括支援センターや自治体などに相談することが大切です。

【アンケート結果】本人の希望と安全・家族の事情との間で悩む人は多い

本人との話し合いがうまくいかず、悩んでいるのは決して珍しいことではありません。ここでは、介護における意思決定について実施した独自アンケート調査の結果もあわせて、実態を紹介します。

【調査概要】
調査期間:2026年2月13日~2月24日
調査方法:インターネット調査
調査人数:300名

▼詳しい調査レポートはこちら
「「高齢期も”自分らしく”いたい」──介護における自己決定と本人らしさに関する意識調査」

介護経験者の約9割が、本人の希望より安全などを優先した経験あり

介護経験者(n=156)に、本人の希望よりも安全・効率・周囲の都合を優先した経験があるかを聞いたところ、「たまにある」が104名、「よくある」が36名となり、合わせて約9割の人が経験ありと回答しました。

優先した理由としては、「転倒やケガが心配だった」が67.6%でもっとも多く、次いで「見守りができない(仕事・距離・家庭事情)」が45.6%、「本人の認知機能低下で判断が難しかった」が33.1%という結果でした。

自由回答では、「仕事と介護の両立の難しさ」「家族の心身の限界」「本人と他の家族の意思のバランスの難しさ」といった声も多く挙がっており、多くの介護経験者がご本人の意思と安全確保との間で葛藤していることがうかがえます。

半数以上が希望を聞けなかったことを後悔

介護において後悔しやすいと感じることを聞いたところ、「本人の希望を十分に聞けなかった」が54.0%でもっとも多く、「家族の都合を優先してしまった」が38.3%、「会う回数や会話が減ってしまった」が29.0%と続きました。

また、「選択肢(施設・サービス)を調べきれなかった」が27.3%、「急いで決めてしまった」が26.3%など、情報不足や意思決定の急ぎを後悔の要因として挙げる声も少なくありません。自由回答でも、「本人の意向をじっくり聞けなかった」など、事前の情報収集や話し合いの不足を悔やむ声が多く見られました。本人との合意形成には、時間をかけた対話と十分な情報収集が欠かせないと言えるでしょう。

本人が老人ホームの入居を拒む理由

本人が老人ホームへの入居を拒む背景には、さまざまな心理的な要因が関係しています。ここでは、代表的な5つの理由を紹介します。

住み慣れた自宅を離れたくない

住み慣れた自宅への愛着から、不便であっても現在の生活を続けたいと望む高齢者は少なくありません。

認知症のある方の中には、環境の変化によって混乱や不安が強くなる方もいます。住環境の変化そのものが大きな心理的ハードルとなっている場合があることを理解しておく必要があります。

介護が必要な自分を認めたくない

「自分は認知症ではない」「家族が勝手に介護をしている」など、介護が必要な状態であることを本人が認めようとしないケースも見られます。

こうした背景には、自尊心を保ちたいという思いがあります。加えて、認知症の症状によって自身の状態を認識することが難しくなっている場合もあります。ただし、入居を望まない理由は本人によって異なるため、その背景にある思いや希望を丁寧に確認することが重要です。

家族に介護してほしいという価値観がある

「介護は家族がすべきもの」という価値観を持つ高齢者は、施設への入居を家族による義務の放棄や愛情不足と感じ、強い抵抗感を示すことがあります。

施設に入れようとされること自体を「見捨てられる」という寂しさや不安として受け取ってしまうケースも少なくありません。本人にとって入居の提案が、家族との関係そのものへの不安につながっている場合があることも意識しておきましょう。

老人ホームに否定的なイメージを持っている

「自由がない」「集団生活を強いられる」「意地悪なスタッフがいる」など、施設に対して否定的なイメージを持つ高齢者も少なからずいます。

実際の施設とは実態が異なる場合がほとんどですが、本人にとってはそのイメージが入居拒否の大きな理由になっている点を踏まえて対応する必要があります。

他人に介護されることへの抵抗感がある

入浴や排泄などプライバシーに関わる介助を他人にされることへの強い抵抗感も、入居を拒む理由の一つです。「家族になら任せられるが、他人には任せたくない」という気持ちがある方は少なくありません。

こうした心理的な抵抗感は、本人の自尊心に深く関わる問題であるため、丁寧な配慮が求められます。

老人ホームの入居の同意を得るためにできること

本人の同意を得ながら入居を進めるためには、家族側にもいくつかの工夫が求められます。ここでは、具体的な4つのアプローチを紹介します。

本人の気持ちをじっくり聞く

家族だけで話を進めるのではなく、「なぜ入居したくないのか」「どのように生活したいのか」を本人に率直に聞くことが最初のステップになります。

「介護がつらいから」など家族側の事情のみを伝えると、本人にとっては一方的な説得と受け取られ逆効果になりかねません。無理強いをしない姿勢を示しながら、本人の気持ちに寄り添うことが重要です。

施設見学や体験入居を活用する

昔のイメージで入居を拒否しているケースでは、実際に施設を見学してもらうことで考えが変わることがあります。「嫌だったらやめよう」と、別の選択肢もあわせてお願いする形で誘うと良いでしょう。

また、施設によっては体験入居を利用できる場合があります。ショートステイやデイサービスなどを利用し、家族以外から介護を受けることや、自宅以外で過ごすことに少しずつ慣れてもらう方法もあります。スタッフや他の入居者との関係が生まれることで、抵抗感が軽減されるケースも多く見られます。

医師やケアマネジャーなど第三者に協力を求める

家族だけでの説得が難しい場合は、ケアマネジャーや主治医など専門家に仲介を依頼するのも一つの方法です。医師などの専門職からの説明のほうが受け入れられやすかったり、第三者が加わることで感情的な対立が和らいだりする場合もあります。

また、施設側に本人が入居に乗り気でない旨を伝えておくと、施設側からの働きかけを得られることもあります。

家族との関係が変わらないことを伝える

入居を提案されたことで、「家族に見捨てられるのではないか」と不安を感じる方もいます。

入居後も面会や連絡を続けることなどを具体的に伝え、施設へ入居しても家族との関係が変わらないことを理解してもらうことが大切です。

老人ホームの入居に関するご相談なら

本人の同意を得ながら円滑に入居を進めるには、家族だけで抱え込まず、介護施設紹介サービスなど専門の相談窓口を頼るのも一つの方法です。

元気な介護グループでは、ご本人やご家族の状況を丁寧に伺いながら、介護サービスや施設選びについてご相談を承っています。状況や地域によっては、訪問介護・看護や通所介護(デイサービス)など、在宅サービスの利用についてもご相談いただけます。

一人で抱え込まず、まずは気軽に相談してみることから始めてみませんか?

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